PCT出願による国際出願

PCT出願とは

  • PCT(Patent Cooperation Treaty、特許協力条約)出願 は、国際的な特許出願のプロセスを効率的にするための枠組み.

  • PCT出願を通じて、 国際的な優先権をひとまず確立 し、 その後、出願国を選択して国際的な特許審査を依頼できる.


PCT出願の特徴

  1. 国際的な優先権の確立 : PCT出願すれば、日本の特許庁に 元特許を出した日 を、 他の加盟国すべてで特許を出した日 にできる.

  2. 各国特許での類似特許の検索結果が得られる : PCT出願すれば、国際検索機関(WIPO)が発明に関する文献を調査した結果が開示される. 似た特許がどこで出願済みか、 世界版公知例調査が自動的にになされる.

  3. 出願先の選択の延期 : PCT出願は国際段階と国内段階からなる. PCT出願から30ヶ月の猶予が与えられ 、30ヶ月以内に、出願したい国で審査書類を提出すれば、権利化される. とりあえず出願しておいて、特許が有効な国を30ヶ月でじっくり選ぶことができる.


一般的な国際出願 ( パリ条約出願 ) との違い

  • パリ条約に基づく直接出願

    • 各国それぞれの特許庁に出願が必要(翻訳も必要)

    • 費用を各国に支払う必要がある.

    • 権利が発生するのは、それぞれの国で特許書類が受理されてから.

  • PCT出願

    • 自国の特許庁に出願すればよい

    • 費用は、まずPCT出願にかかる費用.その後、各国での権利化(国内移行)にお金を要する.

    • 出願日は、元の自国語特許の出願日とできる.


PCT出願のデメリット

  1. 手続きが 複雑 になるケースもある (権利行使したい国が明確な場合、余計な国際出願になる.)

  2. PCT出願のぶん、余計に 費用がかかる ( 米国で結局使用する場合、"米国" v.s. "米国+PCT" )

  3. すべての国がPCT加盟国というではない (台湾、アルゼンチン、ベネズエラ、等).

上記、3 については、ほぼ無視できると考えれば、結局、

Note

出願国(権利行使する国)がはっきりとしていれば直接出願 .それ以外は(不確実性が高い場合は、特に)、 PCT国際出願が賢明



PCT success story!!

(引用:特許の国際出願とは)

  • とある米国のスタートアップ企業

Note

『PCT出願は、発明について単一の国際出願を提出すればよく、簡便でコスト効果が高いため、特に当社のような資金の限られたスタートアップ企業にとって非常に有用です。また、PCT制度が提供する選択肢、すなわち、国内段階移行前にビジネスケースの評価を行いつつ費用を先送りすることができる点も重要でした。そして何より、国内段階移行の費用が発生する前に発明の特許可能性について事前に見解が得られるという意味で、国際調査機関 (ISA) による国際調査報告 (ISR) および見解書(WO/ISA) は非常に役立ちました。また、ISRおよびWO/ISAのおかげで、当社の強力で幅広いグローバル特許ポートフォリオについて、現在および将来の投資家に自信を持ってもらうことができました。』

  • とあるインドの個人発明家

Note

『私のような個人発明家にとって、特許協力条約 (PCT) ルートによる出願は非常に役に立っています。PCTの最大のメリットは、各国における特許出願の期限が延⻑されることです。PCTがなければ、最初の (第一国における) 出願日から1年以内に、すべての国で特許出願をしなければならなかったのですが、PCTでは30か月の猶予期間が与えられます。こうした期間延⻑のおかげで、私のような発明者は、その後移行先の各国で支払うことになる出願手数料や審査手数料 (国内段階) の資金源やパートナー・スポンサーを集めることができるのです。』