画像処理の座標系について

アフィン変換について

  • 画像処理の最も基本的変換は、 アフィン変換(Affine Conversion) である.

    • アフィン変換は、 平行移動、拡大縮小、回転、剪断 の4要素からなる線形変換である.

    • デカルト座標系に対して、拡大縮小、回転、剪断の3変換は、線形変換 y=Ax にて記述が可能.

    • 平行移動については、定数項の和で記載が可能.

  • 座標系をそのまま用いた場合の画像変換の、各変形は以下である.

    • 平行移動 : 定数項の加減算 ( X^{\prime} = X + t )

    • 拡大縮小 : 対角行列倍 ( \begin{bmatrix} a_x & 0 \\ 0 & a_y \end{bmatrix} )

    • 回転 : 回転行列倍 ( \begin{bmatrix} cos \theta & -sin \theta \\ sin \theta & cos \theta \end{bmatrix} )

    • 剪断 : シア行列倍 ( \begin{bmatrix} 1 & s_x \\ s_y & 1 \end{bmatrix} )

同次座標系について

  • N次元の座標系を1次元拡張したN+1次元の座標系に変換し、これに対して線形変換することで、N次元空間での平行移動が記述可能である.

    • この際に使用する N+1次元の座標空間を 同次座標系 と呼ぶ.

    • 同次座標系は、例えば、[x,y,z]に対して、1次元座標空間を追加した [x,y,z,w] などとして記載されるが、w の値としては何を用いてもよい.よって、w=1とした [x,y,z,1]を同次座標系として用いることが通例である.

平行移動について

  • 平行移動は例えば、次のように記述できる.

    \begin{bmatrix} x^{\prime} \\ y^{\prime} \\ z^{\prime} \\ 1 \end{bmatrix} =
\begin{bmatrix}
1 & 0 & 0 & t_1 \\ 0 & 1 & 0 & t_2 \\ 0 & 0 & 1 & t_3 \\ 0 & 0 & 0 & 1
\end{bmatrix}
\begin{bmatrix} x \\ y \\ z \\  1 \end{bmatrix}

剛体変換について

  • 剛体変換は、回転、及び、平行移動からなる座標変換である.

    • 剛体変換は変換前後で体積が保存する.

    • 拡大縮小や剪断を含まないアフィン変換である.

  • 剛体変換は、同次座標系を用いて、以下のように記述できる.

    \begin{bmatrix} x^{\prime} \\ y^{\prime} \\ z^{\prime} \\ 1 \end{bmatrix} =
\begin{bmatrix}
r_{11} & r_{12} & r_{13} & t_1 \\ r_{21} & r_{22} & r_{23} & t_2 \\ r_{31} & r_{32} & r_{33} & t_3 \\ 0 & 0 & 0 & 1
\end{bmatrix}
\begin{bmatrix} x \\ y \\ z \\  1 \end{bmatrix}
=
\begin{bmatrix} \bf{R} & \bf{t} \\ \bf{O}^T & 1 \end{bmatrix}
\begin{bmatrix} x \\ y \\ z \\  1 \end{bmatrix}

透視投影カメラモデルについて

  • カメラを用いて、透視投影して3次元物体を2次元画像へ写像した際の変換を以下に記す.

    \begin{bmatrix}  x^{\prime} \\ y^{\prime} \\ 1          \end{bmatrix} =
\begin{bmatrix}  f &  0 & 0 \\ 0 & f & 0 \\ 0 & 0 & 1   \end{bmatrix}
\begin{bmatrix} \bf{R} & \bf{t}   \end{bmatrix}
\begin{bmatrix} x \\ y \\ z \\  1 \end{bmatrix}

同次座標系の利点

  • 平行移動を線形変換として取り扱える(演算子を単一化することが可能).

  • 個別の変換(直感的でわかりやすい)を、合成変換としてまとめることができ、数値上・コード上わかりやすい.

  • 合成変換の固有値分解などにより、結局の変換の "本質" が解析可能.

  • 位置制御や画像処理の分野で標準的に使用されており、議論しやすい.

References