低温工学

冷凍機技術

超伝導技術を実用化するためには,極低温を実現するための冷凍機が必要となる. 冷凍機には,超伝導状態を得るために,信頼性・低コスト・高効率性・軽量性 等が求められる.

以下に,重要な液化ガスの沸点を記す.

  • 液体窒素: 77 (K)

  • 液体水素: 20 (K)

  • 液体ヘリウム: 4.2 (K)

液体ヘリウムだけ小数点以下を記述しているが,極低温域において 0.1 (K) 下げる技術的困難さが高いからである.

冷凍機の例

Joule-Thomson 冷凍機

  • 液体窒素レベルの比較的高温の環境を簡便に得るために使う冷凍機.

  • 高圧の He, Nガスを小さなJT弁から一気に断熱膨張させることによって,極低温を得る.

  • JT冷凍機は動作・構造が簡単でコンパクト

  • 高圧のガスボンベが必要.

  • 冷凍効率が低い.

Stirling 冷凍機

  • 常温部の等温圧縮と極低温部の等温膨張による冷凍機. Stirling エンジンの逆サイクル.

  • 熱効率上昇のために,蓄冷器が大きく寄与する.

  • 等温圧縮 - 等容加熱 - 等温膨張 - 等容冷却

磁気冷凍機

  • 磁性体に磁場をかけ,電子スピン配向を一定とすることによりエントロピーが低下,余剰な熱エネルギーは格子振動へ渡すことによって温度が上昇する( 磁気熱量効果 - 発熱 ).

  • 逆に,磁性体にかけた磁場を弱くしていくと,格子振動から電子が熱エネルギーを受けとり,格子振動の熱エネルギーは失われる( 磁気熱量効果 - 吸熱 ).

  • 磁気冷凍機は,磁気熱量効果の発熱・吸熱反応を熱サイクルとして用いた冷凍機.

  • 磁場をかけた状態 ( 発熱: +dT )で, 高温側に排熱後( 発熱分を冷却: 0 ),その後磁場を取り除く ( 吸熱: -dT )によって低温状態を作り出す.

  • 常温での使用は一般的に不可.

  • 小型.

  • 冷媒としてのフロンガス等を必要としない.